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「実力」ナンバーワン(!?)の横浜美術館


アートと言えばまずは美術館が思い浮かぶ方も多いかもしれません。もちろん横浜にも美術館があります。私がよく行くのは横浜美術館。1989年に開館した市立の美術館です。

昨年、日本経済新聞社が全国の主要公立美術館を格付けする「美術館の実力調査」を行い、紙面にてその結果を発表しましたが、横浜美術館は地域貢献力の評価がトップ、偏差値総合1位と最高ランクに輝きました。横浜市民としてはとてもうれしいことです。

数字ばかりが評価の全てではありませんが、横浜美術館は開館当時より特色のある美術館として注目されていましたし、近年でも実際に様々な興味深い取り組みを行っています。

施設の特色としては、展覧会を見るだけでなく、図書室で調べものをしたり、体験型のプログラムを通して「学ぶ」ことができるという、開館当時には全国的にも珍しかったコンセプトに基づいて設計されていることです。

全国的にも充実した美術書をはじめ、映像資料なども取り揃える「美術情報センター(旧美術図書室・美術情報ギャラリー)」や、親子連れや学校教育で人気の「子供のアトリエ」、本格的な制作体験ができる「市民のアトリエ」などが運営されていて、人気を集めています。

企画展は、62万人の入場者を集めた「ルーヴル美術館展(2005年)」など大型の美術展から、「長谷川潔展(2006年)」など横浜ゆかりの作家の展覧会、「アイドル!(2006年)」など実験的な現代美術展まで幅広く行われています。

コレクションにも特徴があるので常設展も見ごたえがあります。絵画・彫刻は近代美術が中心に集められていて、マグリットやダリなど、私が好きなシュルレアリスム作家の作品も多くあります。時代や様式別に展示されていることが多いです。

また、開港都市、写真舶来の地ということで写真のコレクションも充実。専用の展示室があるので、そこでは必ず写真作品を見ることができます。写真の作品をまとめて見ることができる美術館は意外に少ないので写真ファンには人気があります。

最近では展示室ではなく、併設のギャラリーやホールを使って小さな展示やイベントを積極的に行っていたり、現代アーティストの公開制作を行ったりしていて、様々なかたちでアートに親しむことができます。

ホームページでも様々な情報が提供されていますので、気になる方はすぐにチェック!→横浜美術館ホームページ

ハマケイでも昨年末に横浜美術館の魅力に迫った特集記事を制作しています。→「わたしの美術館」「わたしの作品」を目指す。横浜美術館、「実力」1位評価の秘密

現在は、版画の収蔵作品を中心とした「小島烏水版画コレクション展」や、現代アーティスト石田尚志さんが公開制作を行っている「アーティスト・イン・ミュージアム横浜2006」などが開催されています。これからも、横浜美術館には要注目です。


筆者 橋本誠

横浜国立大学マルチメディア文化課程卒業。ギャラリー勤務を経て、フリーのアートプロデューサーとして活動している。主な企画展にReading Room(BankART studio NYK/2005)など。2006年11月より横浜ベイクォーター内「ギャラリーBox」の作品展示をP3 art and environmentの芹沢高志と共に企画・制作。

展覧会・イベント情報サイトTokyo Art Beatのレビューページ「TABlog」に編集兼ライターとして参加、ポータルサイトAll About「アート・美術展」ガイドを担当するなど執筆活動も行っている。