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70年前の贈り物〜山下公園・インド水塔〜

近年、中国とともに経済成長の著しいインド。中国と同じく人口は10億人規模を誇り、今後の世界経済はアジアに注目が集まると言われる。元来インド人は数字に強いと言われ、特にIT関連では群を抜いている。私は半年ほど前に横浜市内のIT関連企業のイベントをお手伝いさせてもらった事があるが、やはりインド人が多く参加していた。人口減が叫ばれるわが国において、現在持っているあらゆるシステムを維持していくためにもインド人の力は不可欠であろう。


横浜とインドの関係は歴史深い。1859年に横浜港の開港からわずか4年後には今の山下公園付近に「在浜インド商協会」を置き、インド人が商売していたという史実がある。インドにとって、横浜が日本で初めての経済拠点だったのである。また商売だけでなく、今から100年程前にはアジア人初のノーベル文学賞受賞者、ラヴィーンドラナート・タゴールと横浜生まれの美術家・岡倉天心とが思想面で意気投合し、地球環境破壊や度重なる紛争を憂い、互いに“Asia is one”を目指したなど、文化面での交流も深い。また横浜市はインドの都市・ムンバイと40年以上の姉妹都市であるが、インドの都市が日本の政令指定都市姉妹都市を結んでいるのはここ横浜市だけである。


山下公園にひとつの水塔がある。今から約70年ほど前に在浜インド人協会から贈られたものである。1923年、関東大震災によって在浜インド人116人のうち28人が命を落としてしまった。横浜市は街の復興とともに被災した在日インド人への援助にも力を注ぎ、住宅地などの手当てを行うなどした。その援助に対する感謝のしるしが、この水塔である。


本来は水のみ場であったが、現在は衛生上の問題で残念ながら水は出ない。近々新たなモニュメントを設けるという。しかしながらインド人がくれた贈り物は、歴史を語り継ぐ上で大切にしていきたい。


記事:田中 健介


・横浜インド文化交流会ホームページ
http://india.hamacco.net/index.html
・タイムスリップよこはま
http://www.timeslip-y.jp/kanto/indo.html