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横浜都心臨海部のビジネス&カルチャー情報を配信する「ヨコハマ経済新聞」編集部のブログ

たったひとつの自然砂浜 〜金沢区・野島海岸〜

9月に入り、横浜地方は雨の日が続いている。雨が降る毎に秋の気配は一層深まっていく。今年も横浜の夏は、あっけなく終わってしまった。それでもまだ暑いのだけれども………。


秋に入ると言いつつも、過ぎ行く夏はやっぱり寂しいので、「海岸」をテーマにしたい。神奈川県で見ると鎌倉の由比ガ浜江ノ島茅ヶ崎などの「湘南海岸」が全国的に有名であるが、我が横浜市は「横浜」という地名でありながら、横浜市内で海岸を目にする、砂浜に触れる、という機会を得るのはほとんど皆無に等しいだろう。「海の公園があるじゃないか!!」と言われるだろうが、海の公園は1988年にオープンした人工海浜なのである。
ペリーの横浜港来航時の絵を見ると、今の大桟橋や山下公園などがある場所も海岸であった事実が伺える。そもそも横浜という地名の由来も「横一面に広がる浜」からである。1960年代までは、本牧や磯子などは海水浴場として賑わい、のり漁なども盛んであった。「江戸前」ののりは、横浜の海のものが主流だったと言われている。しかし高度経済成長で京浜工業地帯の整備が急務となり、横浜の海岸・砂浜はほとんどが埋め立てられてしまったのだ。


たった一つ、自然海浜として現存している場所がある。金沢区の野島海岸である。わずか数十メートルの砂浜に足を踏み入れると、港町・横浜の唯一の自然海浜であるという思いとともに、実に感慨深い。横浜八景島シーパラダイスのジェットコースターが海の向こうに見えるのも、不思議だが貴重な光景である。
レジャーとしての利用なら人工海浜である海の公園の方が設備も十分である。しかし、横浜市民としてこの自然海浜である野島海岸を認識し、もっと大切に考える必要があるのかもしれない。



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記事:田中 健介