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また一つ、スターが去った…〜ベイスターズ・クルーン退団〜



 11月16日、サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督が倒れるというニュースので、我が誇るべき市民球団横浜ベイスターズの絶対的クローザーであるマーク・クルーンが退団というとても残念なニュースが飛び込んできた。


 思えば2004年オフ、最速159キロの投手が来日すると聞いて、さほど期待はしていなかった。球の速い投手と言うのは大概コントロールに難のあるタイプが多い。ましてやそれだけの投手ならば、メジャーリーグも簡単に手放すはずがない。おまけに野菜嫌いで偏食だという。
 しかし彼は横浜の新しいスターとしてひときわ輝いた。バネのある肉体から放たれる豪速球は、159キロどころか、頻繁に160キロを出した。
 それでも時々スカーン!!と打たれたのも愛嬌があってそれはそれで良かった。グラウンド外では気軽にサインに応じるなど温厚な人柄でもあった。
 2005年途中、衰えぶりが目に余るメジャー帰りの佐々木主浩に代わり、クローザーとして活躍し始め大ブレイクした。


 覚悟は出来ていた。今季は来日以来3年間の中で最も安定しており、自己最多となる31セーブを挙げた。ブレイクした1年目の2005年オフの契約更改交渉が難航した過去もあり、契約最終年となる今オフも難航が必至であった。ベイスターズは巨人や阪神に比べ、資金の豊富なチームではない。親会社であるTBSもあてにはならない。


 しかし、しかしながら、来日して3年連続でオールスターに選ばれた投手である。全国的人気に乏しいベイスターズの中でも、稀有な存在である。
 時速161キロという速球は、日本のプロ野球史上最速なのである。そういうスター選手を簡単に(実際にはそうじゃなかろうが、ファンには簡単に見えるのだ)流出してしまう球団の対応、今後のビジョンがとても理解しがたいのだ。また、クルーン退団の数日後には浮いた3億円ほどの資金を選手の年俸に反映させるかどうかで話していた。だいたい10億円の赤字を出したなどと発表していた球団が何を言っているのか!と、不愉快極まりない。


 2004年オフ、ベイスターズは2年連続本塁打王を獲得していたタイロン・ウッズを中日に流出したり、もう少し前には2002年の谷繁元信、2000年のボビー・ローズなど、前例を挙げればキリがないが、球団に貢献した人物を次々と流出している。年俸が経営を圧迫するのを球団が嫌った結果だろうが、本気でチームを愛するファンはその都度傷ついているのだ。そして、遠ざかっていくファンも少なくないのだ。



「開港150周年の優勝」という目標はどれだけ本気なのか?私は、もう少し見守っていこうとは思っているが………。


記事:田中 健介


横浜ベイスターズ オフィシャルサイト
http://www.baystars.co.jp/
横浜ベイスターズ クルーン オフィシャルサイト
http://www.kroon161.com/