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下町に異国情緒の面影〜根岸なつかし公園〜


コンビナートやガントリークレーンがそびえ立つ根岸地区。かつてはその名の通り、海岸に面した風光明媚なスポットであった。
本牧から磯子にかけて入り組んだ曲線には根岸湾があり、開港後の外国人居留者たちからも「ミシシッピ・ベイ」として親しまれていた。
隣町の本牧地区には原三渓や小野光景などの財を成した有力者たちが別荘や邸宅を海岸沿いに建てていたが、この根岸地区も例にもれず、
明治初頭より横浜でも有数の「銅鉄引取商」として弁天通に「鴨井屋」の屋号で店を構え、金属の輸入業を営んでいた柳下平次郎、達蔵の兄弟により横浜市磯子区下町に和館と洋館が一体となった大邸宅が建てられた。
そんな柳下邸が関東大震災で一部倒壊後も大部分の損失は逃れて現在まで大切に保存されてきたのが横浜市指定有形文化財の「根岸なつかし公園 旧柳下邸」である。



古くからの下町の雰囲気漂う根岸の路地を断崖に向かって歩くと、その邸宅が見える。
和館と洋館、蔵に分かれ、それらが一体となった広い邸宅だが、洋館のインパクトは大きい。洋館そのものは大した大きさではないが、突出した造りになっているので、遠くからでも確認できる。
広大な庭園には横浜公園でもおなじみの水琴屈があり、邸宅の裏側に当たる断崖には湧き水があったという。現在は枯渇しているが、それは根岸の丘が「NEGISHI」であるからなのかはわからない。


なんでもない路地に見つけた洋館。ここもまた「ヨコハマ」であった。そしてそれは初夏の生臭い潮風がやさしく吹いてさらに確信したのであった。


記事:田中 健介

・「根岸なつかし公園 旧柳下邸」
http://members.ytv.home.ne.jp/yagishitatei/index.html