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横浜大空襲、一番の人身の被害は京浜急行線黄金町駅

1945年5月29日の昼間に米軍のB-29爆撃機517機、P-51戦闘機101機が来襲。「横浜大空襲」が行われた。

1時間8分の焼夷弾による爆撃で、中区、西区、南区、鶴見区神奈川区保土ケ谷区が壊滅的な被害を受けた。
当時の横浜市の34%が焼け野原となり、人口の3分の1の31万人が被災した。
死者は約8千〜1万名といわれている。

京浜急行電鉄金町駅周辺一帯は、東急湘南線の上下線に停車中の電車から空襲警報発令と共に退避中の利用客も被害に遭遇し、多数の焼死体が累々と折り重なった所である。また同線の平沼駅は前年に廃駅となっていたが、焼夷弾によって壊滅的被害を受け、その鉄骨が1999年まで架線柱代わりに残されていた。

横浜大空襲の(無差別)絨毯(じゅうたん)爆撃(重慶の遺産)のすさまじさは、3月10日の東京の半分の時間で、投下された焼夷弾(しょういだん)量は1.28倍の2,570トン(43万8,576発)、出撃したB―29爆撃機も、2倍近い517機とP51戦闘機101機による機銃掃射が加わったったことで明白である。
しかし、3月10日の10万人の犠牲者を出した東京大空襲の惨状に隠れて、同年5月29日の横浜大空襲の惨禍(さんか=むごたらしい被害。いたましい災難)が取り上げられることは少ない(松山大空襲は死者・行方不明者251名)。
敗戦後、米軍は横浜に進駐し、市街地の27%を接収、横浜大空襲で廃虚と化した市中心部に、カマボコ形の兵舎を建て、同時に港湾施設の90%を米軍の基地とした。横浜一の繁華街だった伊勢佐木町も店の多くが接収され、進駐軍用の食品店や病院、クラブになり、かつ裏通りには飛行場も建設された。

一瞬の間に横浜は焼野原になった。被害は話しにもたとえようがない。一番の人身の被害は京浜急行線黄金町駅が中心であった。

その被害は焼夷弾による火災により逃げおくれた焼死であり、老幼男女折りかさなって死んでいた。考察するに空襲警報とともに構内に終結したものと思われ、不幸にして焼夷弾と爆弾とに包囲された状態となり、火に包囲され、火あぶりとなって焼死体となったもので、全く見るに忍びがたき姿であった。

空襲も全くおさまり、親子近親を失った者が焼死体をさがす姿、その死体に会った時の痛ましき姿はともに涙にくれてしまった。死体は黄金町駅北側道路両側に並べ、引取者を待っておりましたが初夏に近い五月末のこと、日ざしも強く、死体は時を過ぎるに油と血を流出し、臭気を感じてきました。やむなく死体を埋葬することになった。

これに当たる者は軍隊より他はなかった。その時私は軍服の尊厳を感じた。警察官、警防団、消防士の姿は全く見えなかった。兵隊は地区に住む者で自家のことはものかは一生懸命で、不平不満も語らず二人一組となり死体の頭部を足部を支え、貨物自動車に積み、久保山に穴を掘り、これに共同埋葬いたした。その取り扱いは丁重であった。女親は幼き子を両脇にかかえ、うつ伏せになり子供のために死んでいる姿が多く、思わず心をひかされた。罪なき母子がこのようなことになり敵がい心は昂揚するも、いたしかたなかった

横浜市は横浜大空襲の日の5月29日 、「横浜の空襲と戦災関連資料」のページをリニューアルした。

横浜市が、横浜の空襲を記録する会に収集を委託した事業の成果として、約7,000点の資料を所蔵しています。当時を体験した市民が、戦争の記憶を次世代に引き継ぐため、ご寄贈された資料です。
資料には、戦時下、あるいは占領下の市民生活を物語る写真や、衣服・焼夷弾の筒などの現物資料に加え、体験記や日記などの文字資料も含まれています。

●ホームページ概要
1 公開開始日 平成20年5月29日(木曜日)
2 ホームページ・メニュー
 (1)「写真でみる横浜大空襲」web版
  「1プロローグ」、「2戦時下の生活」、「3横浜大空襲」、「4都市再生」の四部構成。
  それぞれに、関連年表と解説及び関連画像を掲載。掲載画像数約150点。
 (2)関連文献案内
 (3)所蔵資料の紹介
 (4)パネル等の貸出
3 ホームページ・アドレス
http://www.city.yokohama.jp/me/gyousei/housei/sisi/kusyu.html


■参考情報リンク
▽横浜空襲の記録
http://www.history.independence.co.jp/ww2/contents.html#yok

▽【ンボマハコヨ!45冊目】今井清一『新版 大空襲5月29日』
http://blog.mag2.com/m/log/0000197572/108604856.html

▽横浜大空襲
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/yokohamadaikuusyuu.htm