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異国情緒のディープな街並み〜若葉町ストリートを歩く〜



 横浜・伊勢佐木町商店街の裏通りには、若葉町という一風変わった街がある。
さほど大した街ではないが、こじんまりした中にもオリエンタルな、知っている人は知っている、裏通りならではのディープな界隈である。


 第二次大戦後、関内を含めこの伊勢佐木町一帯も米軍による接収を受けた。この若葉町の通り一帯も、返還される1950年までは「EIGHTH ARMY TI&E DEPOT」と呼ばれるアメリカ陸軍の飛行場であったというから驚きである。


 京浜急行金町駅方面から歩くと、右手に広いコインパーキングがある。何気ない駐車場であるが、ここは巨匠・黒澤明監督の映画「天国と地獄」にも登場した伝説の酒場「根岸家」が存在した場所である。
進駐軍の兵士、娼婦、愚連隊などが24時間絶えず出入りしていたと言う。
そんな不夜城も1980年に閉店後、1983年頃に火事で消失した。


 すぐそばにはやはりこちらも林海象監督の映画「私立探偵 濱マイク」に登場した「横浜日劇」という映画館があった。
物語の主人公・濱マイクはこの映画館内で探偵事務所を構えていた。こちらも2005年に閉館、存続の声もむなしく今年に入り解体。次に何が出来るかと工事現場を見ると、10階建てのマンションだそうで…。まあ、世の中とはそんなものだ。
かつて「洋画は 邦画は 日劇名画座」とあったアーケードも、ただの骨組みだけとなってしまっているのが切ない。が、面影が少しでも残っていたことにちょっぴり嬉しさも。日劇はなくなっても向かいにある映画館「シネマ ジャックアンドベティ」はいまだ健在である。


 もう少し歩いてみるとエスニックな香りに包まれる。クレイジーケンバンドの「プーナ」という歌にもあるように、この辺りはリトル・タイと言っても過言ではないほど、タイ人が営む店が密集しているのだ。
タイ料理店はそこらのショッピングセンターなどのテナントにあるそれとは異なり、本物のタイ料理が味わえる。
タイ式マッサージの店も多い。そして極めつけは24時間営業のコンビニだ。中に入れば食材、飲料水、雑誌、ビデオテープetc、すべてがタイの物である。この界隈に住むタイ人がSOUL(魂)を求めて買物をしているに違いない。


 筆者はこの日は昼間にこの街に来たが、本当にこの街の味わいが出るのは夜なのかも知れない。
怪しさと、妖しさが滲んでくるのだ。


記事:田中 健介


横浜市中区区制80周年事業 空港の街〜伊勢佐木町・若葉町〜
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