中区とともに80周年〜ホテルニューグランド〜

横浜・山下町の山下公園沿い、通称・BUND(海岸通り)にはいくつものホテルが軒を並べている。その中でも歴史が深く代表的なホテルと言えば、今年創業80周年を迎えるご存知「ホテルニューグランド」であろう。

1859年の横浜港開港以来、多くの外国人が貿易などを目的に横浜へ頻繁に訪れるようになり、そこで1860年にオランダ船ナッソウ号の船長であったフフナーゲルが「横浜ホテル」を誕生させたのが横浜のホテルの始まりであり、それが日本初のホテルでもあった。その後も当時日本最大級の「グランドホテル」が開業するなど、横浜にはいくつものホテルが軒を並べた。

しかし、1923年の関東大震災にて多くのホテルが崩壊。それを受けて1927年に「横浜復興のシンボル」として地元財界人の肝いりで造られたのが、後に服部時計店、有楽町日劇、原美術館(いずれも東京)などの設計でも有名となる建築家・渡辺仁による設計の「ホテルニューグランド」である。ちなみに、「ホテルニューグランド」と同じく「横浜復興のシンボル」として1930年に山下公園も完成している。

第二次大戦後のアメリカ占領下にGHQ総指揮のマッカーサーが日本着任後に最初に泊まったホテルとして知られているほか、「ハマっ子作家」の一人、大佛次郎が散歩の合間にホテル内のバー「シーガーディアン」に立ち寄りピコンソーダを愛飲するのが日課だったのも有名である。また、スパゲッティ・ナポリタンやシュリンプドリア、プリン・ア・ラ・モードは「ニューグランドホテル」が発祥の地である。最近ではサザンオールスターズやクレイジーケンバンドなどにも「ホテルニューグランド」を歌詞とした楽曲があるなど、長年に渡って愛され続けているホテルである。

ホテル内ロビーにて、「ホテルニューグランド80周年記念・フォトギャラリー」が催され、ホテル周辺の古き良き横浜の街並みの写真の数々が展示されている。また、80周年を記念したイベントやプランも盛りだくさんである。80年と言わず、100年、150年と今後も横浜市民や観光客にいつまでも愛されるホテルであってもらいたい。