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中華街入口の「ストロングビル」解体と見学会

横浜スタジアムの中華街側の道に面している歴史的建造物「ストロングビル」がついに取り壊しになる。
またひとつ、中華街周辺の横浜の歴史にとっても重要で素敵な建物がなくなってしまう。1Fには、クレージーケンバンドのケンさんの店「アポロプレイス〜クレイジーケンズシンジケート」や、「peace cafe」があったこの建物は、横浜出身の建築家「矢部又吉」によって1938年に建てられたもの。

*矢部又吉(やべ またきち)[1888-1941]
 銀行建築の名手として知られる横浜出身の建築家。ドイツ留学後、旧横浜正金(しょうきん)銀行本店の設計者、妻木頼黄(よりなか)に師事。川崎財閥の顧問建築家として、川崎銀行の建築を多く手がけた。横浜では、代表作のうち日本興亜馬車道ビル(旧川崎銀行横浜支店)、旧東京三菱銀行横浜中央支店(旧第百銀行横浜支店)が横浜市歴史的建造物に認定され外観の一部が継承されている。

なかなか格調あるビルで、解体はとても残念。

日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部などは昨年の7月に、ビルの持ち主であるストロング・アンド・カンパニー社に対し、「ストロングビル」の保存活用を求めて要望書『「横浜ストロングビル」の保存活用に関する要望書』を提出して保存を訴えていた。

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▽要望書より抜粋
 近年、関内地区において、戦前期のオフィスビルが徐々に失われており、大正期から昭和戦前期の、横浜の繁栄の舞台となった建築の存在が希薄化していることは、「港ヨコハマ」の都市景観の魅力にとって憂慮すべき状況であると思われます。都市の魅力は、多様な建造物がさまざまな形で歴史の語り部として継承されてこそ、都市の重層的な魅力、ひいては都市の経済的価値の向上に繋がるものと考えます。また、この横浜ストロングビルを取り壊すことなく保存しながら、その建築的・景観的魅力を活かした新しい建築を建て敷地の有効活用を図ることは、新たに設置される施設にとっても多様な価値を付与し、多大なメリットを与えるものと確信します。また、横浜市などの行政においても、さまざまな歴史的建造物の保存・活用の試みに対する支援制度を有しており、その適用事例は関内地区においても多く見ることができます。
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http://www.jia.or.jp/news/jia_news/2006/07strongbuil.htm


このストロングビル、来年にも建築工事と復元工事を開始して、2009年にビジネスホテルとして生まれ変わるそうです。

今回、同ビルの建て替えにあたり、横浜市は所有者であるストロング・エンド・カンパニー(ファーイーストリミテッド)に対し同ビルの保全を要請、その結果低層部の3面(横浜公園側を中心とした3面)に現在の外観意匠を忠実に再現し、正面玄関部を中心に、一部既存の部材を再利用する方向でまとまった。新築されるビルは、13階建てで、建築面積は1215.18平方メートル、延べ面積は13336.18平方メートル。1・2階が店舗、3〜12階は299室(予定)の宿泊施設でダイワロイヤルが運営するビジネスホテル「ダイワロイネットホテル」、13階はブライダル施設となる。来年にも建築工事と復元工事を開始して、2009年の竣工を予定する。


9月1日、2日の一般公開はどなたでも参加できます。皆さんも行ってみてはいかがでしょうか。


▽歴史的建造物「ストロングビル」で復元に向け一般公開
ヨコハマ経済新聞・mapニュース)
http://www.hamakei.com/mapnews/2619/







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