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神奈川県高校野球のメッカ〜保土ヶ谷球場〜


夏の風物詩、高校野球全国大会。全国各地で予選を戦い、すでに北海道など甲子園行きの切符を手にした球児たちもいる。我が神奈川県予選も24日現在で5回戦を消化し準々決勝までコマを進め、佳境に入ってきた。


横浜市の野球場といえば、言わずと知れた横浜ベイスターズの本拠地である中区の横浜スタジアムがあり、高校野球の県大会も開会式や決勝を行っているが、もう一つ、歴史深い野球場がある。保土ヶ谷区の県立保土ヶ谷公園内にある神奈川県立保土ヶ谷公園硬式野球場、通称・保土ヶ谷球場である。夏の高校野球予選では毎年準々決勝まで25試合前後が開催され、熱き戦いの舞台となっている。tvkの試合中継の頻度が最も高い野球場で、それだけに重要度、注目度が高いのである。また、人工芝の横浜スタジアムとは対照的に、天然芝の野球場である。15000人収容で両翼95m、中堅120mは世界規格の両翼325フィート(99.058m)、センター400フィート(121.918m)以上には一歩及ばないが、横浜スタジアムの両翼94m、中堅118mに比べて若干広い事を考えると、大変立派な野球場であるという事がお分かりいただけると思う。


保土ヶ谷球場は1949(昭和24)年5月に完成した。こけら落としがまだ1リーグ時代であったプロ野球の公式戦、巨人対東急戦であったと言うのは意外である。青田、川上観たさに25000人もの大観衆が集まったそうだ。
その後1970(昭和45)年に設備を大幅に改修し、1975(昭和50)年までの5年間は高校野球神奈川県大会の決勝の地としても利用されてきた。その頃は原辰徳(現巨人軍監督)の東海大相模がフィーバーして保土ヶ谷球場も原観たさに連日多くの観客が訪れたそうだ。この頃より参加校も全国最大級になったため、「神奈川を制するものは全国を制す」と言われる激戦区となる。また同じ頃、水島新司原作の漫画「ドカベン」がヒットし、漫画の中の明訓高校は神奈川県にあるという設定であったため、度々保土ヶ谷球場が登場し、主人公の山田太郎里中智らが名勝負を繰り広げた。保土ヶ谷球場が「神奈川県高校野球のメッカ」と言われるようになったのはこのあたりからである。
さらに1997年に全面改修し、手動式から磁気反転式のスコアボードに替えたほか、6基の照明灯を設置しナイターも可能となった。翌1998年には「松坂フィーバー」で横浜高校が春・夏全国制覇した事はついこの間のように感じる。


球場裏の県立保土ヶ谷公園資料館では現在「保土ヶ谷を熱くした球児たち」という写真展が開かれている。古くは原辰徳、Y校(横浜商業)の「ジャンボ」こと宮城宏明(→ヤクルト)、横浜高校愛甲猛(→ロッテ→中日)、最近では横浜高校松坂大輔(→西武→レッドソックス)、同じく涌井秀章(→西武)らの勇姿を見ることができる。7月31日まで開催。入場無料。


話はややずれるが、横浜ベイスターズは毎年平塚球場で公式戦を行っている。この平塚球場保土ヶ谷球場はほぼ同等のキャパを持っているだけに、昭和24年以来のプロ野球公式戦開催を観てみたいものである。ただ、東京ヤクルトスワローズの本拠地である「学生野球のメッカ」神宮球場大学野球優先でスケジュールを組んでいるように、「神奈川県高校野球のメッカ」と言われる保土ヶ谷球場に対して、プロ側が敬意を表している部分があるのかも知れない。


この日は5回戦、第一試合は横浜対藤嶺藤沢戦という強豪同士の好カードとあって開放しない外野芝生席を除いてほぼ超満員であった。試合は4対4から延長11回、1死2・3塁から横浜・土屋選手のライトフライを藤嶺藤沢のライト・渡邊選手の視界に太陽が入ったため捕球できず、5対4で横浜のサヨナラ勝ちとなった。たとえ渡邊選手がフライを捕球できたとしても、犠牲フライの可能性が高い打球だっただけに、渡邊選手は責められない。打った土屋選手を称えるべきである。第二試合の川和対横浜商大は4対1で川和高校が勝利。いよいよベスト8である。今年も熱戦が続いた保土ヶ谷球場の夏も、これで終わりである。横浜市内はもうすぐ梅雨も明け、本格的な夏がやってくる。


参考リンク
・カナロコニュース『写真で振り返る「保土ケ谷を熱くした球児たち」/横浜』
(http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiijul0707344/)
・神奈川県立公園ガイド『保土ヶ谷公園』
(http://www.kanagawa-park.or.jp/kenritu/19hodoga/19hodogaya.htm)
ウィキペディアWikipedia)『神奈川県立保土ヶ谷公園硬式野球場
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E4%BF%9D%E5%9C%9F%E3%83%B6%E8%B0%B7%E5%85%AC%E5%9C%92%E7%A1%AC%E5%BC%8F%E9%87%8E%E7%90%83%E5%A0%B4)


記事:田中 健介
http://sns.yokohama150.jp/blog/?key=3931



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