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「ハマの音楽」

 先日7月15日の「横浜開港記念みなと祭 第五十二回国際花火大会」は折からの台風4号接近による影響で残念ながら中止となってしまった。毎年50万人前後の見物者で賑わっていただけに経済的損失は計り知れないが、見物者の安全を考慮すれば、潔い決断であったと思われる。


 話は変わって、ヨコハマの音楽について少々語らせてもらいたい。横浜では港町なだけに、様々なジャンルの音楽が取り入れられてきた。まずはジャズである。ジャズは1900年頃に日本に伝わったと言われ、最初はどこか定かではないが、いくつかの諸説の中に横浜が発祥とも言われている。以来、今日まで市内に「ミントンハウス」「ちぐさ」「パパジョン」などのジャズ喫茶やジャズバーが多く存在してきた。さらにジャズを横浜独自の文化として根付かせようと、毎年8月には今年で27回目を迎える「本牧ジャズ祭」、10月には15周年となった「横濱JAZZプロムナード」などが催され、市内だけでなく全国の多くのジャズフリークの心を掴んでいる。


 横浜は伊勢佐木町。有名な「へびや」「のちょうど向かい辺りに、ハスキーボイスがセクシーであった青江美奈の代表曲である「伊勢佐木町ブルース」の歌碑がある。
2000年7月に急逝した彼女の一周忌にあたる翌2001年7月に伊勢佐木町商店街などが主となり建立された。この歌が大ヒットしたのが1968年。1960〜70年代はこの他にもいしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」や平山美紀(現平山みき)の「ビューティフル・ヨコハマ」など、この辺りの煌びやかだった情景を歌った曲は数多い。


 ところ変わって、西区・野毛。野毛にまで、ドンキホーテができてしまったのか…、と嘆く(それとも喜ぶ?)前に、そのドンキの向かいに、昭和の歌姫・美空ひばりの像がある。その隣りは「松葉寿し」と言う寿司屋で、彼女が良く通っていたと言われるお店だ。美空ひばり磯子区滝頭の鮮魚店の娘として生まれたハマっ子で、その後の活躍ぶりは説明するまでもない超大物だ。前述の「伊勢佐木町ブルース」の歌碑の裏には「20世紀のヨコハマの歌50選」が刻まれており、彼女の名曲「悲しき口笛」「港町13番地」などが刻まれている。


 グループサウンズ全盛期、新しい洋楽は本牧から発信されてきたと言われている。本牧は第二次大戦後、長い期間米軍による接収と言う憂き目に遭ってきた。しかし、ハマっ子たちはそういう憂き目に遭いながらもすぐそばにある米国人の文化を吸収し、それらを自分達の物にしてきた。ゴールデン・カップスやパワー・ハウスなどのグループはロックに限らず、リズム&ブルースをいち早く取り入れ、独自の音楽を作り続けた。ゴールデン・カップスは近年になり再結成したり、映画を製作したり、パワーハウスであった柳ジョージはソロとして活躍、竹村栄司(CHIBO)は「The Mojos」のボーカルであり、「本牧音楽の主」としていまだ健在である。


 伊勢佐木町でもう一つ忘れてはならないのが、フォークデュオ「ゆず」である。1998年夏、ベイスターズが38年ぶり優勝へ向かってまっしぐらな頃、「夏色」で大ヒットした2人。伊勢佐木町松坂屋辺りでは夜になるとフリーライブを、売れてからもしばらくは行っていた。あれからもう9年にもなるのか……。2003年大晦日のNHK紅白歌合戦ではこの松坂屋で2人が歌った事は記憶に新しい。以来、松坂屋入り口にはゆずのモニュメントが飾られている。


 近年ではレゲエの飛躍も著しい。昨年活動15周年を迎え、レゲエの本場ジャマイカで日本人としてはもちろん外国人としても初のチャンピオンに輝くなど世界的規模の活動を続けているMighty Crownや、同じくMighty Crown Familyであり今年10周年のFIRE BALLなどは地元横浜出身である。「ジャパニーズ・レゲエ」と言うジャンルを発信し、確立したのは彼らだと言っても過言ではないだろう。今年で13回目を迎える「横浜レゲエ祭」は、年を追う毎に規模が大きくなってきている。


 前述以外にもヨコハマの音楽に貢献した人々は数え切れないが、現在活躍中の中で特筆すべきは横山剣率いるクレイジーケンバンド(以下CKB)である。メンバーのほとんどが横浜市在住でロック、R&B、ボサノバ、ラテン、ディスコ、ムード歌謡、昭和歌謡(これってジャンルか??)、レゲエ、Hip Hop、ジャズなど、数々のジャンルにとらわれない楽曲作りはどんなものも受け入れるハマっ子気質を感じる。また、地元・ヨコハマに執着した楽曲作りが特徴で、「ヨコハマはG30」プロジェクトのテーマソングや横浜ベイスターズの応援ソング、横浜市立みなと総合高校の校歌を作るなど、地域密着ぶりを見せ付けている。


 そんなCKBに「☆☆☆☆☆」という曲がある。これはみなとみらい線が開通した2004年に製作された「Brown Metaric」というアルバムに収録された曲で、ヨコハマの短い夏を嘆きつつ、渋谷にいる女の子を東横線一本で花火大会においでよ、と誘い、どんなポジションから花火を見ても五つ星だよ、という観光誘致楽曲(笑)である。国際花火大会は中止になってしまったが、8月1日には「第22回神奈川新聞花火大会」が行われる。行かれる方はこの「☆☆☆☆☆」を聴いてから、見物してみては??


《参考リンク》
・「YOKOHAMA本牧ジャズ祭」 
http://www.honmoku-jazz.com/
・「横濱JAZZプロムナード」 
http://www.jazzpro.jp/index.html
・「2007横浜レゲエ祭」 
http://www.mightycrown.com/yrb2007/history/index.html
・「クレイジーケンバンドオフィシャルサイト」 
http://www.crazykenband.com/
・「Amazon.co.jp:Brown Metallic」 
http://www.amazon.co.jp/BROWN-METALLIC-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89/dp/B000207N4Y/ref=sr_1_12/250-5708350-5310614?ie=UTF8&s=music&qid=1184682481&sr=8-12
・「神奈川新聞花火大会」 
http://www.kanaloco.jp/st/hanabi/



記事:田中 健介