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横浜都心臨海部のビジネス&カルチャー情報を配信する「ヨコハマ経済新聞」編集部のブログ

ナショナルアートパーク構想について

横浜市の文化芸術の施策であるクリエイティブシティヨコハマを御紹介する水曜日、今日は「ナショナルアートパーク」構想について書いて行こうかなあと思っています。ざっと前回までのおさらいをしますと、クリエイティブシティの施策概要として、四つの柱がありましたね。「創造界隈」「横浜トリエンナーレ」「映像文化都市」、そして「ナショナルアートパーク」でした。

このなかで今まで三つ御紹介しましたが、「ナショナルアートパーク」は先の三つの構想よりも随分広範囲というか、抽象的、概念的なものが強い施策であると言えるでしょう。といいましても、そんな分りにくく考える必要でもなく、要するに横浜臨海部の大規模な文化的都市整備事業といった感じでしょうか。
ナショナルアートパーク構想とは
http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/project/artpark/about.html

ナショナルアートパーク構想は、施策の内容的に「創造界隈」などとだぶるイメージもあったり、「横浜トリエンナーレ」にしろ「映像文化都市」にしろ「横浜臨海部の大規模な文化的都市整備事業」の一環といえなくもないし、どこからがナショナルアートパーク構想だとはっきり確定してしまいにくいものだったりもします。
そういうとらえどころがない感じの原因としては、例えば「創造界隈」がより具体的に「歴史的建造物にアーティストやクリエイターを誘致して制作やイベント、滞在させることで文化を活性化させよう」といった感じに具体的なスタンスなのに対し、 「横浜の都心臨海部を今以上に親しまれる場とするとともに、歴史文化等の資源を活かしながら文化芸術活動を積極的に誘導して新しい産業育成や観光資源を発掘して、街の魅力向上、都市活性化、横浜経済の発展をはかる構想」 というからいまいち顔が見えない。

しかし実際にこのコンセプトで行けば、横浜臨海部全体の文化開発のことをいっているとも言えます。これでは微妙に解釈が正確ではないかもしれないのですが、だいたいはこれくらいに考えておいた方がイメージがわくのではないかと思います。
でもそれじゃ、「クリエイティブシティ」という概念くらいまで拡大して解釈してもオッケーになっていますが。。。分りにくく考える必要はないといいながらついつい考えてしまうのが「ナショナルアートパーク」構想でもアル。。。
...まあ、あんまりこのへんでぐだぐだ言っていてもしかたがないので、具体的な施策の中で行われている内容でも観て行きましょう。

ヨコハマ経済新聞の特集では、このように書いています。
「提言では、6つの拠点地区(ヨコハマポートサイド軸、みなとみらい21地区キング軸、みなとみらい21地区クイーン軸、新港・馬車道軸、大さん橋日本大通り軸、山下・中華街・元町軸)と3つの創造界隈(馬車道日本大通り、桜木町・野毛)を構想推進エリアとして掲げています。中でも先導的に取り組むエリアとされるのが、ウォーターフロントの(1)象の鼻・大さん橋、(2)山下ふ頭、(3)馬車道駅周辺の3つの地区です。」

http://www.hamakei.com【エリア特集】2006-02-17 創造性あふれるヨコハマを目指す。ナショナルアートパーク構想の全貌 http://hamakei.com/special/99/index.html

つまりは、ナショナルアートパーク構想には、創造界隈も含んでもいいらしいのですね。創造界隈を含めた臨海部文化事業開発であるのです。
そしてさらには、
「象の鼻・大さん橋地区は、象の鼻防波堤を復元するとともに、文化芸術活動を発信する拠点として形成する。また、ナショナルアートパーク構想に位置づけられた拠点を水上交通で結ぶターミナルの整備も検討テーマだ。2つ目の山下ふ頭地区は、倉庫の空間を生かしてスタジオを集積するなど、創造的産業の拠点として形成する。3つ目の馬車道駅周辺はアーティストやクリエイターが創作し発表し、滞在・居住する創造界隈の先導的拠点と位置づけられている。」
とのこと。
まあ、そんなこんなで観て行くと、2つ目と3つ目は、すでに「創造界隈」や「映像文化都市」で取り上げたところと大体違いないみたいなので、1つ目の象の鼻.大さん橋地区の復元整備に焦点を充てて説明して行きましょう。
象の鼻地区再整備基本計画 http://www.city.yokohama.jp/me/port/general/zounohana/plan_zou/02.html

象の鼻というのは、昔横浜の入江には象の鼻みたいな形をした半島があって、そこが横浜の港のシンボル的な場所だったらしいのですね。しかし今は開発で埋め立てられてしまって、その特徴ある半島はなくなってしまった。それをまた復元して、周辺は主に広場として再整備して横浜の新たな名所にしていきましょう、ということなんです。

再整備地区の設計者は、コンペで選ばれました。応募登録数62人の中から、
小野寺康 (小野寺康都市設計事務所 44歳)、小泉雅生 (小泉アトリエ 43歳)、小林泉 (パワーアーキテクツ 34歳)、田井幹夫 (アーキテクトカフェ・田井幹夫建築設計事務所 37歳)、山中新太郎( 一級建築士事務所山中新太郎建築設計事務所 38歳)
の各氏が一次評価を通過し、二次評価で、小泉アトリエの小泉雅生氏が最優秀賞を取り、象の鼻地区の設計を任されることになりました。
象の鼻地区http://www.city.yokohama.jp/me/port/general/zounohana/index.html
二次評価http://www.city.yokohama.jp/me/port/general/zounohana/proposal_zou/06.html
小泉アトリエhttp://www.k-atl.com/


再整備事業は、2009年の横浜開港150周年祭までに完成させなければいけないとのことなのです。あと2年で護岸整備から完成までもって行かなければならず、かなり日程的には厳しいということですが、是非頑張って素晴らしい広場を創って下さい!


さてさて、そんなこんなで「ナショナルアートパーク構想」ならではの具体的な事業、「象の鼻地区再整備基本計画」を紹介しましたが、ランドマークタワークイーンズスクエアのみなとみらい地区、歴史的建造物のある馬車道地区、野毛、大さん橋日本大通、山下・中華街いずれをとっても、横浜ならではの魅力を最大限発揮しています。その発展のためのマニフェストが、クリエイティブシティ政策であり、ナショナルアートパーク構想といえるのでしょう。

これからも、横浜市には「ナショナルアートパーク構想」に沿ってどんどん画期的な事業を創って行ってほしいと思います。
ではでは、それでは、みなさん、今日のところはさようなら。


著者:山本浩生 簡単なプロフィール
私は、現在は主に横浜を拠点にアーティストとして活動しています。東京出身なのですが、横浜のアートがいま非常にあついのを察知し、約2年前に横浜にふらふらと拠点を移してきた次第であります。横浜では北仲ホワイトにポロニウムという団体を創って入居していました。
http://polonium.jp