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「横浜三塔」

 こんにちは。火曜日担当の高木です。
今回は、横浜港を象徴する歴史的建造物である「横浜三塔」を紹介したいと思います。

 さて、この「横浜三塔」とは神奈川県庁本庁舎、横浜税関本関庁舎、横浜市開港記念会館の3つの建物のことを指し、それぞれキング、クイーン、ジャックの塔の愛称で親しまれています。
その由来については、かつての外国人船員らがそれぞれの塔をトランプのカードになぞらえて命名したとの説が有力とのこと。
まわりに高いビルがなかった時代、横浜港に入港してくる船の目印になっていたといわれ、当時の外国人船員には印象深い建物だったことでしょう。
(みなとみらい地区の「ジャックモール」/「クイーンズスクエア」・「クイーン軸」/「キング軸」など、現在でもこれらの名称は横浜の地名に活かされている。)


 三塔のなかでまず最初に建てられたのがジャックの塔。
1874年(明治7年竣工)にはこの地に横浜町会所が建てられましたが、1906年(明治39年)に火事で焼失しました。
その跡地に開港50周年を記念して1917年(大正6年)、この横浜市開港記念会館が建てられました。
そして、これはすべて市民の寄付によって建てられたのです。
それから11年後の1928年(昭和3年)、次に建てられたのは神奈川県庁本庁舎であるキングの塔。
関東大震災で焼失した前県庁舎の再建にあたり、公募の案をもとに設計されました。
更に遅れること6年、1934年(昭和9年)に最後に建てられたのが横浜税関本関庁舎であるクイーンの塔です。
当時、二代目の横浜税関関東大震災で倒壊しており、その後も財政窮乏が続いていました。そんな中、時の大蔵大臣であった高橋是清が「失業者救済のため土木事業を起こすべき」と発言。この意を受けた当時の横浜税関長が失業者救済をかねて三代目税関庁舎(現庁舎)建設に着手しました。更にこの横浜税関長が「日本の表玄関たる国際港横浜の税関の庁舎とするなら、高くすべき」と言及したことにより、47mとされていた設計が変更され、高さが当初の設計より4m高い51mで完成するに至りました。


横浜三塔」の歴史と特徴


キングの塔(神奈川県庁)
1928年(昭和3年)11月竣工
高さ49m
高塔は五重塔をイメージさせる。
昭和初期に流行した帝冠様式の先駆けとなる。


クイーンの塔(横浜税関)
1934年(昭和9年)3月竣工
高さ51m
イスラム教のモスクを連想させる緑青色のドームが特徴。
建物自体はロマネスクなどの西欧建築様式が混在している。


ジャックの塔(横浜市開港記念会館)
1917年(大正6年)6月竣工
高さ36m
一般の懸賞公募による設計。
赤レンガと白い大理石の時計塔がシンボル。


 簡単にですが紹介してきた「横浜三塔」。
ちなみにこの三塔が一望できるスポットは3ヶ所あります。
1 日本大通りの神奈川県庁正面
2 横浜赤レンガ倉庫付近(海側)
3 横浜港大さん橋国際客船ターミナル
この3ヶ所のビューポイントにはプレートが埋め込まれているので探してみてください。
実はこの「一望できる」というのが大切なんです。
というのも「その3ヵ所すべてをまわると願いが叶う。」と言われているからです。
その由来としては、
「外国の船乗りが、横浜三塔に航海の安全を願掛けしていたという言い伝えが伝説の由来」
「三塔が震災などの試練を乗り越えてきたことから、2人も困難を乗り越えて結ばれるという噂」
とのことです。
こんな都市伝説を信じながら横浜観光・横浜再発見をするのも、また楽しいのではないでしょうか。


 また、それぞれに個性のあるこの「横浜三塔」はいつも日没から22時までライトアップされています。
昼間とは違った表情も見るもの趣があって良いのではないでしょうか。
(※キングの塔/神奈川県庁本庁舎は金土日のみのライトアップとなります。)


三塔の日(3月10日)には、三塔を一望できるスポットを巡るツアーも企画されています。
歴史を生かしたまちづくりセミナー Vol.30 横浜三塔物語
http://www.city.yokohama.jp/me/toshi/design/rekishiseminar/index.html



みなとみらい線 横浜三塔物語
http://www.mm21railway.co.jp/3towers.html#1


ヨコハマ経済新聞 横浜の歴史的建造物「横浜三塔」を巡るキャンペーン
http://www.hamakei.com/headline/1966/index.html