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ストリートで表現するジモト愛〜βキャップ〜


 「New Era Cap」をご存知だろうか? 1800年代後半に生まれて間もなく家族と共にドイツからアメリカへ移住したエルハルド・コックによって1920年に創業された帽子メーカー「ニューエラキャップ社」のブランドである。

 家族経営の小さな帽子屋さんは、主にベースボールキャップと呼ばれるつば付きのニット、あるいはメッシュ帽を長年に渡り、作り続けてきた。アメリカのメジャーリーグには1930年代から、個人供給ブランドとしてプレーヤーに愛されてきた。
ウールを使用するなど、品質の良い帽子作りで定評のあった「New Era Cap」はやがて1991年にメジャーリーグの球場で着用されるキャップの共同専売権を獲得し、メジャーリーグ公式キャップとして、全球団のキャップを製作・販売するまでにのし上がったのだ。
全米で最も愛されているベースボールキャップと言っても過言ではない。

 2000年代に入り、ニューエラキャップ社は全米だけでなくオイルライターの「Zippo
ように世界的に視野を広げ、海外市場へと進出する。野球の盛んな日本にも当然進出し、2004年に我が市民球団横浜ベイスターズが球団帽を「New Era Cap」にしたことで話題を集めた。海外のレゲエ、HIP HOPなどのストリート系アーティストにも愛されている「New Era Cap」。彼らの多くは「NY」、「LA」を被っているため、それに憧れて日本においても「NY」、「LA」を被る若者が多い。確かにカッコイイデザインだとは思うが、しかし本当の意味をご存知だろうか?彼らは帽子を指差し「俺らのジモトはココなんだぜ!!」と表現しているのだ。ちょっとした「ジモト愛」なのである。

ベイスターズの「New Era Cap」は、「B」のマークの後ろの部分に筆記体の「Yokohama」が刺繍されている。なんとも素敵ではないか。
2005年から一般発売され、クレイジーケンバンドMIGHTY CROWN、FIRE BALL、BLENDZ、風林火山RYO the SKYWALKERなどの横浜出身、もしくは横浜で活動するアーティストが次々に被ってステージに上がることで若者の心を掴み、またベイスターズのチームカラーの青だけでなく様々なカラーバリエーション及びデザインのものが頻繁に発売されることで、最近の横浜のB系な、ストリート系な若者に「β(ベータ)キャップ」として親しまれるようになった。東京からではなく、横浜から広まったと言うのが港町らしく、さすがである。

横浜市緑区に住む介護福祉士、児玉亮さん(26歳=3人の被写体の写真の中央)もまた、βキャップの愛好者であり、コレクターだ。
イイな!!と思う色があればついつい買ってしまうそうだ。鎌倉出身のレゲエユニット・湘南乃風が好きな児玉さんだが、地元である横浜はやっぱり大好きな街で、新山下のベイホールなどで行われるHIPHOP系のイベントには必ずこのキャップを被って行くそうである。

地元を愛する、大切にする若者たちの思いや誇り。選挙の時だけ帰って来る先生方よりはずっと熱いぜ!!


記事:田中 健介


・New Era Cap公式ホームページ 「ニューエラキャップ社の歩み」

http://www.neweracap.jp/jp/about_ne/history.html