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銀杏と潮風の香り〜日本大通りのいちょう並木に思う〜


 横浜スタジアムのライトスタンド方向から港の方へ歩いていくと、西洋式の広い街路が見られる。これが日本大通りである。ヨコハマ経済新聞などが拠点を置く横浜創造界隈・ZAIM(旧関東財務局及び旧労働基準局)をはじめ、日本発の鉄筋コンクリートビルである三井物産横浜ビル、横浜開港資料館(旧英国領事館)など数々の歴史的建造物が軒を連ねている。
 普通の道路より広いスペースの歩道では、何軒かのオープンカフェがあり、昼下がりに人々がくつろぐ姿も見られる。


 この日本大通りは、開港から間もない明治時代に英国人土木技師 リチャード・ヘンリー・ブラントンーによって設計、整備されたものである。元々ブラントンは「日本の灯台の父」と言われるほど国内の多くの灯台を設計し、施工してきた。横浜市内では電信工事や吉田橋の鉄橋など、いろいろなものを作り、「まちづくりの父」とも言われている。


 関東大震災後あたりから現在のいちょう並木になっている。毎年10月から11月にかけ、銀杏が道端にポトリと落ち、横浜港から来る潮風とともに独特な匂いを放っている。この銀杏を毎年楽しみにしている市民も少なくない。先日の神奈川新聞の記事では、正月のおせち料理用に毎年採っているという主婦の方の話があった。


 ちょうど私が日本大通を訪れた時、地産地消や食の楽しさをテーマにした「‘07 秋の収穫祭」が行われていた。地産地消というキーワードは近年地球温暖化防止などのエコな部分で注目されている言葉であり、とても大切なことであるが、もっと本質的に人々は地元で生活する者が地元の作物を食べる喜びというのを忘れてしまってはいないであろうか?
貿易も盛んなわが国は残念ながら自給自足が出来ないものの、食べたい物は簡単に手に入る時代となっている。言わば飽食とも言われている時代。普段食べている食べ物がどこで生産されているかもわからない。それをいいことに、偽装を繰り返す業者も絶えない。

本来、食とは人間の五感をフルに使うものであり、音楽やスポーツなどと変わりのない文化なのだ。食べることで人間性を豊かにするものである。地元で採れた物を食べ、自分たちの住む場所ではこういう物が作られているのだ、という誇りが持て、また食べ物によって季節を感じる事ができる。そこらあたりが、「スローフード」の定義に近いのかも知れない。
牛丼やハンバーガーも時には美味いが、皆さんは横浜でどんな作物が作られているか知ってますか?


記事:田中 健介

日本大通りスペシャルサイト
http://www.nihonodori.jp/history.html